大規模リフォームと建て替え(新築)?・・・どちらが良いか? DAIKIBOREFORME


新築して30年以上経つと、家全体が古くなって汚れや傷が目立つようになり、直さなければいけない所が多く出てきます。

例えば・・・

和式トイレやタイル張りの寒い浴室は健康に悪いし、掃除も大変で、時代遅れ。

キッチンの蛇口は、いくら修理しても水が完全に止まらない。
水道工事屋さんに相談したら、配管全体が古いので全部交換しないと修理できないし、それにはかなりの費用がかかる。

基礎のヒビ割れがだんだん大きくなり、室内の扉も閉まりにくくなったが、家が傾いているのではないか?

今の家は1981年 (S56)6月以前に建築確認を受けているので「旧耐震基準」で建てた建物。2016年の熊本地震で多くの木造住宅が倒壊したが、自分の家は大丈夫だろうか?

屋根瓦のズレ・外壁のヒビ割れ・外壁塗装をして10年以上経つのでチョーキング(白い粉が手につく)が気になりだした。


このように、古くなったので直さなければいけない所も多いが、ついでにここも模様替えしたいとか、使い勝手が悪く不便だから間仕切りを変更したい等、色々希望を言っていたら、家全体を直す大掛かりなリフォーム=大規模リフォームリノベーション(renovation:建物の改修)になってしまった・・・。
見積りをしてもらったら、建て替えと変わらない位の金額になってビックリ?!


・・・現状を変えたいけど、
大規模リフォーム建て替え
どちらを選んだら良いか分からない?


・・・こんなことは珍しいことではありません。

そこで、この問題をどの様に考えたら良いか、整理してみましょう。

目次

大規模リフォームと建て替えの比較

[ 1 ]リフォームの種類

リフォームの範囲や規模、グレード、工事金額等によって、小規模、中規模のリフォームと大規模リフォームに分けた場合、建て替え(新築)と比較検討するのは大規模リフォームです。

【参考】
リフォーム
「元に戻す」(和製英語)で、一般的に「小規模な修繕」という意味で使われる。

リノベーション
「つくり変える」renovation:建物の改修という意味で、一般的に「建物全体に及ぶ大規模なリフォーム」という意味で使われる。

スケルトンリフォーム
英語のスケルトンは「骨格」という意味で、建物の主要部分である「構造体」だけを残して、建物の内部(設備を含む)・外部・あるいは両方を解体して、その後に全てをリフォームする・・・という意味です。
リフォームの中で最も大掛かりな工事で、建て替え(新築住宅)よりは費用を抑えられる。リフォームの内容、範囲、グレード等によって異なるが、一般的に家を新築する1/3~2/3程度の費用(600~1200万円)位が大体の目安と言われています。


ただし、リノベーションを「総合リフォーム・大型リフォーム」と言う場合もあり、3つの
言葉の明確な定義・区別はありません。

[ 2 ]建て替えと大規模リフォームの費用の違い

  • 建て替え

建て替えは新築費用に加えて、既存建物の解体費用、確認申請費用、登記費用、二度の引っ越し費用、仮住まい費用等、色々掛かります。
しかし、予算のことを抜きに考えたら、イチから自分の思い通りに作るので、大規模リフォームより満足度が高いのは当然です。
  • 大規模リフォーム

大規模リフォームは、建物の一部を残して解体し、残った部分を活用するので、建て替えよりも費用を安く抑えることができます。
しかし、解体工事は手作業で手間がかかるので人件費がかさみ、補強も必要になります。
それに隠れた部分については、解体してみないと分からないことも多いので、追加費用が発生することがあります。そこで追加費用を出さないようにすると、見積もりの段階である程度の予備費を見ておくことになりますが、思いのほか高額になってしまいます。
(工事者側からすると、本当は“実費精算“が一番安心なのですが・・・)

また、工事の規模や進め方にもよりますが、家具荷物の移動や、工事中の不便な生活、家族のストレス健康の心配を考えた時、工事中は一時的に引っ越ししたほうが、工事が早く終わるし、ストレスや健康の心配も少ないので、引っ越しをした方が良い場合があります。

[ 3 ]耐震性の違い

日本は、世界でも1、2を争う地震多発国ですが、大きな地震がある度に、国が定める建物の耐震基準のハードルが高くなっています。
従って、新しい材料、新しい工法や技術、より厳しい耐震基準(地盤補強を含む)でイチから作った建て替え(新築住宅)の耐震性は、地盤はそのままで大規模リフォームをした家より優れているのは当然です。

従って、S56の「旧耐震基準」で建てた建物を大規模リフォームする時は、地盤補強はできないが、耐震補強をしっかりとして「生命と財産」を守りたいです。

【参考】
1923年(T12) 関東大震災

1924年(T13)
・市街地建築物法施行規則改正

1950年(S25)
・建築基準法施工・・・旧耐震基準

1968年(S43) 十勝沖地震

1971年(S46)
・建築基準法施工例改正

1978年(S53) 宮城県沖地震

1981年(S56)
・建築基準法改正・・・新耐震基準

1995年(H7) 阪神・淡路大震災

2000年(H12)
・建築基準法改正・・・新・新耐震基準
建物の壁の強さのバランスの基準を上げ、ほぞ抜け対策(金物)をする。

2011年(H23) 東日本大震災

2016年(H28)

熊本地震

大規模リフォーム・建て替えを選択するポイント

大規模リフォームか、建て替えか?・・・を選択するのは、非常に難しい。
一番のネックは予算ですが、それ以外に、建物の耐震性や快適性、満足度など、異質なものを総合的に比較検討し、最後は「自己責任」で決めなくてはいけないので、とても悩ましい問題です。
古い建物でも良い材料、優れた技術で建てられ、建物の構造体に特別問題がなければ、地盤も特に問題はないと判断して良いでしょう。
この場合は、「大規模リフォーム」で良いと考えられます。そうすれば無駄なお金を使わなくて済みます。
ただし、新しい耐震基準に合わせて耐震補強は必要です。
地盤が軟弱で、基礎に大きなひび割れがある、建物が不同沈下して傾いている、床下の水はけが悪くて湿気が多い、雨漏りやシロアリ被害、湿気で土台や柱が腐っている、屋根の棟が凹んでいる等、地盤や建物の構造体(基礎・土台・柱・梁・屋根・外壁等)に重大な欠陥が予想される場合。

「リフォーム」では根本的な解決は難しいし、かなりの費用がかかるので、「建て替え」を選択されたほうが賢明です。

(ただし予算の問題は別)
地盤・構造体に欠陥がある家
現在の建物の大きさや間取りが、家族のライフスタイルに合わず、大きさや間取りの変更が難しい場合は、「建て替え」をお勧めします。

(ただし予算の問題は別)
家族のライフスタイルが変化した家
しかし、建て替えが出来ない場合がある?

建て替える時は、当然現在の建築基準法に従って建て替えることになります。
例えば、前面道路敷地の状況によっては、建て替えが出来ない場合があります。

今現在、前面道路の幅が4メートル未満でも、昔から建物が建っていれば、取り壊して建物を後退させる必要はありません。
しかし、建て替える時は、私有地であっても建築基準法上の4m道路上には建物を建てられないし(セットバック)、道路に2メートル以上接していない敷地には、建物は建てられません。(接道義務・再建築不可)
敷地の後退・セットバック
接道義務

また、建物を建てる時は、現在の建ぺい率容積率が適用されるので、今の建物より小さい家しか建てられない可能性があります。
従って、建て替えを検討する時は、建築士等に建築基準法上の制約を調べてもらって、希望通りの大きさの家が建てられるか確認する必要があります。

もし、希望通りの家が建てられないのであれば、大規模リフォームを選択することになります。

費用について・・・選択する時の一般的な目安



大規模リフォームの総費用が、建て替えに要する総費用の80%を超える場合は、建て替えたほうが良い・・・と一般的に言われています。

80%を超えるのであれば、もう少し足せば、建築基準法の制約の中で、イチから自分の思い通りのプランで「耐震性の高い家」を建てることができるということです。


高齢の方が大規模リフォームや建て替えを検討する時、誰が後何年位住み続けるのか・・・ということも重要なポイントです。
もし、2世帯等で住み続けるのであれば、リフォームローン住宅ローンを使って大規模リフォームや建て替えをするのも良いでしょう。
しかし、そうでなければ、高齢の方の経済的負担にならない範囲で、優先順位をつけて中規模・小規模のリフォームをする方が賢明です。

また、今まで何回かリフォームをしており、そのお金が勿体ないとか、今の家に愛着もあるという理由で、建て替えより大規模リフォームを選択されるケースもあります。
もし今の土地で、自分の希望が叶わないのであれば、今の家を売って、他の所に住み替えをするのも一つの選択肢です。


大規模リフォーム、建て替えのどちらを選択するにしても・・・

大規模リフォームは、耐震診断をして構造体をチェックし、どれだけ使える部分が残るか、新しく交換しなければいけない部分はどこか、どの程度補強が必要かを検討する必要があります。
これはある程度増改築の経験を積んだ建築の専門家に相談されることになります。
そして、その費用も見積もりしなければ、話は前に進みません。

建て替えを検討する時は、現在の敷地で希望する家が建てられるか、建築基準法のチェックをして、新築住宅と同じように、地盤調査や建築計画、費用の見積もり、住宅ローン等について検討しなければなりません。
そして、両方の総費用を出し、将来の生活設計や住まいに対する愛着、家族の健康状態等を総合的に比較検討することになります。

従って、どちらも工事の規模や金額が大きいので、建築のことが分かり、ローン等の資金計画についても相談できる専門家を見つけることが、成功のポイントです。