日本の将来推計人口を見ると、高齢化社会をはるかに超えています。
高齢化社会とは、全体の人口のうち、65才以上の高齢者人口の占める割り合いが7%を越えると高齢化社会と言い、14%を越えれば高齢社会と言っています。
日本はどういう状況でしょうか?
2000年 | 17.4% | |
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2015年 | 26.9% | 4人に1人 |
2050年 | 39.6% | 2.5人に1人 |
今は、5人に1人で、5年後は、4人に一人ですが、40年後は2.5人に1人が65歳以上となると、どんな世界か想像できません。
人口の高齢化がおこる原因は、出生率と死亡率が低下し、そのために人口総数に占める高齢者の割合が高まるからです。
2005年の国勢調査によると、すでに3世帯に1世帯には高齢者がおられます。
なた、高齢者のいる世帯では、一人暮らしや夫婦のみの世帯の割合は、50%を超えています。
このように、実際には高齢化は深刻な状態です。
人口動態統計(2007年)の家庭内の不慮の事故死を見ると、
死者数 | 65才以上 | |
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家庭内の事故 | 12,415人 | 9,683人(78%) |
年間死者数は、交通事故死よりも多い。
その内
死者数 | 65才以上 | |
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浴槽内の溺死 | 3,253人 | 2,895人(30%) |
転倒・転落 | 2,418人 | 1,844人(19%) |
火災 | 1,231人 | 717人(7%) |
この数値は史に至らない事故は含まれていませんが、いかに家庭内の事故が多いか分かります。
日本人の平均寿命は、2005年(平成17)の統計によると男78.56歳、女85.52歳で、年々伸びています。
そして、人間は加齢と共に、体力や近くが衰え、例えば、50,60代では気にならなかったことでも、70代になって、生活に支障が出るようになります。
また、今、自分は元気と思っていても、いつ夫や妻が、障害を持ったり、介護が必要になるかも分かりません。
住まいの中には寒い暑いや段差、狭い、使い難い、家族との生活時間帯のズレ、ヘルパーとの相性…など、高齢者にとって色々な障害(バリア)があります。
その障害を取り除いたり、軽減するのがバリアフリーのリフォームです。
怪我や障害を負って、身体機能が低下してからでは大変だし、時間や費用や気遣いも余分に掛かります。
全てを一気に解決しようとすると中々進まないので、将来の変化を予測しながら、今感じている不満や不安を解消することを優先し、それから段階的に次のステップに進む事が大事です。
バリアフリー
建築用語としては、障害者や高齢者にとって生活に不便な障害を取り除こうという考え方で、建物内の段差を無くしたり出入口や廊下の幅員を広げたり、手すりを付ける等、身体の機能が低下した高齢者や障害者でも、安全に不自由なく日常生活が送れる、つまり、“障壁(バリア)がない(フリー)”という意味です。
従って、バリアフリーリフォームは高齢の方だけでなく、子供や妊婦の方、ケガや病気をしている人等にも必要なことで、高齢になっても住み慣れた家で、出来る限り自立した生活を続けられるように、元気な内にバリアフリーリフォームをしておくことが大事です。
建築以外の意味としては、障害者の社会参加をはばむ制度的、心理的な障害の除去という意味にも使われており、現在は、建物内に限らず、街づくりや交通機関でもバリアフリー化が進んでいます。
介護とは病気や障害、加齢等により身体機能(運動能力や感覚機能)が低下した時、日常生活の身体的困難等に対して補助したり看護をすることです。
又、老老介護とは、高齢者の介護を高齢者が行うことで、主に65歳以上の高齢の夫婦、親子、兄弟などがそれぞれ介護者・被介護者となる場合です。
超高齢社会の日本は、核家族化の進行により老老介護を行う世帯が増加しています。介護サービスの利用料金の高さや他人を家に入れたくない等の理由で、高齢者がヘルパーなどの介護サービスをあえて利用しない場合も多く、介護疲れによる非介護者のうつ病や病気など深刻な社会問題となっています。
介護リフォームはバリアフリーリフォームの中でも、特に住まいで浴室やトイレに自力で行けるように、又、介助する側の負担も軽減できるよう“住まいの中での介護”という視点で行うリフォームのことで、在宅介護を推進するために2000年に始まった介護保険と大きく関わっています。
「在宅介護リフォーム」とは、たとえ身体機能が低下しても、住み慣れた自宅で長く暮らしたい、自宅で自立した生活が送れるようになりたい、自宅で介護(在宅介護)を受けたいと考える人も多いのです。
このリフォームは、介護される方の身体や運動機能に合わせた車椅子や杖、歩行器、リフト等の福祉用具の使用など、ケアマネージャー(介護支援専門員)、福祉用具、施工会社の連帯が非常に重要です。
介護保険制度とは、高齢化や核家族化が進む中で、要介護者が自立した日常生活を送れるように、在宅介護の推進を社会全体で支えていこうという理念に基づいて設立されたもので、1997年に介護保険法が成立し、2000年から介護保険制度がスタートしました。
介護が必要になって、要介護者がバリアフリー工事を実施する場合は、介護保険から20万円を限度として、バリアフリーリフォームの費用の9割が支給されます。
介護保険の知識がなかったり手続きを面倒に思ったりして、全額自己負担で工事をするケースは意外と多いです。
受給に関して以下の条件を満たす方が対象になります。
1:補助例(対象工事が10万円の場合)
補助金額…9万円(10万円×9割)
本人負担…1万円(10万円×1割)
※残りの10万円は次回の住宅改修で利用できます。
2:補助例(対象工事が20万円の場合)
本人負担…2万円(20万円×1割)
補助金額…18万円(20万円×9割)
3:補助例(対象工事が25万円の場合)
補助金額…18万円(20万円×9割)
本人負担…7万円(20万円×1割+超過5万円)
この制度により給付が受けられる住宅改修工事には、以下の種類があります。
1:手すりの取り付けのための壁の下地補強
2:浴室の段差解消(浴室の床のかさ上げ)に伴う給排水設備工事
3:床材の変更のための下地の補強や根太(床板を支える横木)の補強
4:扉の取替えに伴う壁又は柱の改修工事
5:便器の取替えに伴う給排水設備工事
(水洗化又は簡易水洗化に係るものを除く)便器の取替えに伴う床材の変更等
下記の必要書類を揃えて、市町村の介護保険課に届け出ます。
高齢者や障害者に対する住宅改修費用助成制度については、市町村によって介護サービスの内容が若干違うので、各市町村窓口でお問い合わせください。